夏休み。毎日暑いよね。
でも学校が休みだから,気分もうきうきしてくるね。
今日は,ふだん行かない田んぼのほうにでも行ってみようか。
自転車で家から15分。
汗をかきかき,ようやく田んぼに着いた。
水が入っている所もあるけれど,あまり深くはないね。
水の上に出ているイネを見ると,ピンクのかたまりがついている。
イネに産まれた卵
よく見ると,2ミリくらいのつぶつぶが何百個も集まってできている。
まわりを見れば,あぜの草にも,コンクリートの壁にも,そこらじゅうついている!
水路に産まれた卵
つぶすと,どくどくしいゼリーみたいなものがつまっている。
正体は,10日ほどたてばわかってくる。
つぶつぶのひとつひとつが黒ずんできて,やがて中から赤いおなかをした1.5ミリほどの小さな巻貝が出てくる。
次から次へと生まれて,水の中に落ちる。
そこで角を出して,一人前に動き出す。
スクミリンゴガイ,別名ジャンボタニシって言うんだ。
小さな貝は,ところが,ものすごくよく食べる。
小さなうちは,田んぼの泥や小さな藻のようなもの,小さな草などを食べる。
2,3日もすると,おなかの赤いものがうんちとして出て行ってしまうのか,色も茶色っぽく,目立たなくなってくる。
体も,すぐに大きくなってくる。
えさも,ざっ草やイネの葉っぱ,やさいくず,コイのえさ,何でもよく食べる。
自分の体重と同じ量のえさを,2日間で食べてしまうこともあるんだって。
1週間で4ミリ,2週間で8ミリくらいに成長する。
2ヶ月もたって夏休みも過ぎた頃,あんなに小さかった貝は,3センチくらいになったよ。
大きくなった貝。これぞジャンボタニシ。
2個体がくっついているようだ。よく見ると,乗っかられているほうの貝が,乗っかっているほうの貝よりも大きいかな。
交尾中の貝。上がオス。
スクミリンゴガイのメスは,大人になると何度でも卵を産むんだ。
秋になって,田んぼの水が完全になくなると,そのまま死んでしまう貝も多いけれど・・・
水がなくなる前に,土にもぐってしまう貝も多いんだ。
これでまた春になって,田んぼに水が入ると,土から出てきて動き出すらしい。
ところが,
スクミリンゴガイは,南アメリカから連れてこられた外来種なんだ。
向こうでは田んぼはあまりないけれど,日本では田植えしたばかりのイネを食べてしまうって,多くの農家の人はものすごい嫌っているみたい。
(つづく)
注1:観察してもいいけれど,絶対に逃がさないで下さい。新しいところにひろがってしまいます!観察が終わったら,ちょっとかわいそうだけれど,新聞紙にくるんでビニール袋に入れ,ゴミとして捨ててしまおう。
注2:じっさいに調べた人がいて,8000個という報告があります。でも,条件がいいと,もっと生むんじゃないかな。だれか調べて教えて下さい。メスの大きさもきろくしてね。
遊佐陽一 × このは × はなちゃん